喘息とは

喘息（ぜんそく）とは、気管支（空気の通り道）が狭くなり、「ヒューヒュー」 「ゼーゼー」と苦しくなり、激しくせき込む発作（喘息発作）をくり返す病気です。

発作がないときでも気管支には慢性的に炎症が起きているので、ちょっとした刺激でも症状が出やすくなります。

この気道の炎症が続くと、気管支の壁が腫れたり、痰が増えたり、筋肉が縮んだりして、さらに空気の通りが悪くなり、発作が起きやすくなります。この慢性的な炎症を治さないと、いつまでも発作がくり返されます。さらに気管支が壊れて硬くなってしまってしまうと「リモデリング」という状態になり、発作がおさまらなくなってしまいます。

喘息を悪化させる要因

喘息を悪化させる要因には、次のようなものがあります。

• 風邪などの感染症
• ダニ、カビ、ペットの毛などの吸入アレルゲン
• 天候や大気汚染
• 受動喫煙
• 激しい運動
• 肥満
• ストレス　など

お子さんそれぞれに、どのような要因が関係しているかを知ることで、対策が取りやすくなります。

喘息の検査と診断

くり返し 「ヒューヒュー」 「ゼーゼー」 したり、風邪をひくと咳が長くつづく場合は、喘息の可能性があります。ただし、子どもは気管支が細くて軟らかいため、喘息でなくても症状が起きやすいという特徴があります。他に同じような症状を起こす病気もあるため、問診や診察、ときには検査も行なって、総合的に診断します。

検査には、血液検査、胸のレントゲン、呼吸機能検査、気道の過敏さをみる検査などがあります。とくに低年齢の場合は呼吸機能検査などの検査を行うのがむずかしいため、喘息の治療を始めてみて症状の改善があるかどうかを評価することが行われます。

喘息の治療方針

喘息の治療については、発作の対応と普段の治療（長期管理）を分けて考える必要があります。

喘息発作の対応

強い喘息発作のサインとして、次のようなものがあげられています。

• 強く「ヒューヒュー」「ゼーゼー」する
• 咳き込みが激しくおさまらない
• 苦しそうにうなる
• 呼吸が荒い、速い
• 呼吸で肋骨の間がへこむ
• 呼吸で小鼻が開く
• 横になって眠れない
• 母乳やミルク、飲み物を飲んだり、食べたりできない
• 顔色が悪い
• ボーッとしている
• 機嫌が悪い、興奮している
• 呼吸でろっ骨の間がへこむ、脈が速い　など

これらの症状がある場合は、直ちに医療機関への受診が必要となります。

ただし、強い喘息発作の症状はなくても、発作に対応するための薬をお持ちでない場合や、薬を使用しても改善しない場合、呼吸困難感が強い場合は医療機関を受診することが勧められます。

発作治療薬

主な発作治療薬に、即効型のβ2刺激薬があります。このお薬には狭くなった気管支を拡げる効果があり、発作の治療に有効です。ただ、この薬には炎症を抑える効果はありません。そのため、発作が起きたときだけ治療するというのでは、いつまでも喘息発作をくり返してしまい、だんだんと悪化して「リモデリング」を起こしてしまいます。発作が治ったあとも、普段の治療を続けて発作を予防することが必要です。

普段の治療（長期管理）

普段の治療では、次の3つが大切です。

• 喘息の悪化要因を減らす対策
• 気道の炎症を抑えるための治療薬
• 発作を防ぐ体力づくり

悪化要因への対策

子どもによって喘息の悪化要因に対策します。

よくあるものでは、ダニに対して、ソファーやカーペットの掃除をしたり、布団や枕のダニ対策をしてダニの繁殖を減らす、といった対策があります。

他には、ご家族に喫煙者がいる場合は、これを機に禁煙するとよいですね。

悪化要因への対策を行うことは、喘息発作を減らし、改善を早めるのに有効です。

薬物療法

気道の炎症を抑えるための治療薬（長期管理薬）には、吸入ステロイド薬、ロイコトリエン拮抗薬などがあります。

吸入ステロイド薬は、気管支に直接作用して炎症を抑えてくれます。局所投与となるため、少ない量で効果が得られ、内服や注射薬を長く全身投与した場合のような副作用の心配もありません。全ての年齢で、喘息長期管理の主役となるお薬です。

吸入薬は、適切な方法で吸入しないと効果が十分に得られないため、吸入方法をしっかりと身につける必要があります。低年齢の子どもには、スペーサーという補助具を使うと、簡単に確実に吸入できます。

ロイコトリエン拮抗薬は内服する薬です。吸入ステロイド薬に比べて炎症を抑える効果は弱くなりますが、内服薬で使いやすい利点があります。軽症の場合はこのお薬だけで治療することもありますが、効果が十分でない場合は吸入ステロイド薬と一緒に使用することもあります。

体力づくり

喘息のコントロールには、体力づくりが欠かせません。

バランスの良い食事、十分な睡眠、規則正しい生活に加え、適度な運動が大切です。

激しい運動をすると、せき込んだり発作が出ることがあるため、運動することを避けてしまいがちです。しかし、適度な運動は喘息の治療に必要です。そのため正しく対策をとり、薬物療法を行いながら、体力づくりをすることが大切です。

また、肥満も喘息を悪化させる要因です。食べ過ぎや運動不足をさけ、健やかな生活習慣を心がけましょう。