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おたふくかぜ

おたふくかぜ(流行性耳下腺炎)は、ムンプスウイルスによる感染症です。主に飛沫や接触によって感染します。

唾液腺という、唾(つば)を出す腺の中でも、特に耳下腺が腫れることが特徴で、痛みや発熱を伴います。

多くの場合は自然に回復しますが、髄膜炎難聴などの合併症を起こすことがあり、注意が必要な病気です。

原因ウイルス

「おたふくかぜ」の原因となるのはムンプスウイルスです。

ムンプスウイルスは、まず喉の入り口に感染して増えた後、血液に入って全身に広がります。

唾液腺、髄膜や膵臓、精巣、卵巣などに達したウイルスが再び増え、唾液腺の炎症や全身の症状に伴って様々な合併症を引き起こします。

 

「おたふくかぜ」(流行性耳下腺炎)は世界中でみられる病気ですが、日本では3〜5年ごとに流行を繰り返しており、春から夏にかけて患者数が増える傾向があります。

特に3〜7歳ごろの子どもに多くみられます。

感染経路

主な感染経路は、飛沫感染と接触感染です。

飛沫感染 ウイルスを含む唾液の飛沫を吸い込んで感染します。
接触感染 ウイルスが付着した手や物を介して感染します。

 

特に感染力が強い時期は、耳下腺が腫れる1〜2日前から、腫れ始めて5日頃までです。

発症する前から強い感染力があるため、家族内や集団生活の場で感染が広がることがあります。

症状について

ムンプスウイルスに感染してから症状が現れるまでの潜伏期間は12〜24日程度で、多くは17〜18日です。

主な症状は次のとおりです。

  • 耳下腺の腫れ・痛み
  • 発熱
  • のどの痛み
  • 頭痛
  • 食欲低下
  • 倦怠感

唾液腺には耳下腺・顎下腺・舌下腺がありますが、特に耳下腺の腫れ・痛みが最も多い症状です。

耳下腺の腫れは1〜3日でピークとなり、3〜7日で治まります。

酸っぱいものを口にすると、唾液の分泌が刺激されて痛みが強くなることがあるので、控えましょう。

不顕性感染

ムンプスウイルスに感染しても、約30%は症状が出ない「不顕性感染」となります。

不顕性感染は乳児に多く、年齢があがるにつれて症状が出る割合が高くなります。

不顕性感染であっても唾液中にウイルスが排出されるため、気がつかないうちに感染が広がることがあります。

合併症

「おたふくかぜ」は軽い病気と思われがちですが、次のような合併症を起こすことがあります。

無菌性髄膜炎

ムンプスウイルスによる髄膜炎は、1〜10%と比較的多い合併症です。

強い頭痛や嘔吐を伴いますが、予後は一般に良好です。

脳炎・脳症

脳炎・脳症の頻度は0.02〜0.3%と高くはありません。

ですが、命に関わる重篤な合併症であり、回復しても後遺症を残すことがあります。

ムンプス難聴

難聴は「おたふくかぜ」の0.01〜0.5%に合併するとされています。

主に片側の聴力が低下しますが、両側の難聴も起こることがあります。

低下した聴力は回復せず、重度の難聴を残すおそれがあります。

精巣炎・卵巣炎

思春期以降では精巣炎(20〜40%)や卵巣炎(5%)の合併がみられます。

精巣炎を起こすと睾丸が萎縮し精子数が減少しますが、不妊に至ることはまれです。

膵炎

「おたふくかぜ」の4%に膵炎が合併するといわれています。

 

合併症には重篤なものもあります

子どもが「おたふくかぜ」にかかると、無菌性髄膜炎脳炎・脳症などの中枢神経の合併症が多くみられます。

ムンプス難聴は特に注意が必要な合併症です。

他にも、妊婦さんが感染すると流産の危険性が高くなります。

「おたふくかぜ」の合併症には重篤なものもあり、決して軽く考えてはいけない病気といえます。

診断と治療

耳下腺の腫れなどの特徴的な症状から診断されますが、必要に応じて血液検査やPCR検査を行う場合もあります。

 

「おたふくかぜ」の特効薬はありません。

発熱や痛みを和らげるお薬で対症療法を行いながら、十分な水分補給と安静を心がけましょう。

耳下腺の痛みが強い場合は、酸味の強い食べ物や飲み物を控えたほうが良いでしょう。

予防とワクチン

予防について

手洗いや咳エチケットなどの基本的な予防策を行います。

感染者との濃厚接触をできるだけ避けることが重要です。

ただし「おたふくかぜ」は症状が出る前から強い感染力があり、また症状が出ない不顕性感染も多いことから、感染者を隔離しても完全に防ぐことは困難です。

おたふくかぜワクチン

「おたふくかぜ」はワクチンで予防できる病気(VPD)です。

日本小児科学会では、次のように2回の予防接種を推奨しています。

  1. 1回目の接種
    1歳になったらできるだけ早く
  2. 2回目の接種
    小学校入学前の1年間(5〜7歳未満)

1回の接種だけでは十分な予防効果が得られないため、2回の予防接種が勧められています。

おたふくかぜワクチンを2回接種すると、高い予防効果が期待できます。

接種率が向上すれば、おたふくかぜの流行は小さくなり、重篤な合併症も少なくなります。

ワクチンの副反応

おたふくかぜワクチンにも副反応がみられることがあります。

接種10〜14日後に、軽度の発熱や耳下腺の腫れがみられることがありますが、数日で治ります。

また、接種3週後ごろに、ワクチンによる無菌性髄膜炎が起きることがあります。

しかし、感染して起こる無菌性髄膜炎に比べると、頻度は0.01~0.1%と少なく、症状も軽いものです。

その他、ごくまれに、血小板減少性紫斑病、重いアレルギー反応(アナフィラキシー)などの副反応が報告されています。

任意予防接種費用助成事業

豊田市およびみよし市では、おたふくかぜワクチンの任意接種に対する費用助成制度があります。

詳しくは予防接種のページ「おたふくかぜ対策事業」をご覧ください。

登園・登校の目安

おたふくかぜは学校保健安全法において「第二種感染症」に定められています。

「耳下腺、顎下腺または舌下腺の腫れが始まってから5日を経過し、かつ全身状態が良くなるまで」は、登園・登校を控える必要があります。

登園・登校の時期については医師にご相談ください。

保護者の方へ

「おたふくかぜ」耳下腺が腫れることが特徴で、多くの場合は「軽い病気」として自然に回復します。

しかし、髄膜炎が意外に多くまた稀に脳炎・脳症難聴などの重篤な合併症を起こすことがある「注意が必要な病気」です。

不顕性感染も多い一方で、感染力は強いため流行が広がることがあります。

 

「おたふくかぜ」は「ワクチンで予防できる病気」でもあります。

おたふくかぜワクチン接種でお子さんと大切な家族や周りの人を守ってあげてください。

 

もし、お子さんの耳の下が腫れたりして、「おたふくかぜ」にかかったことが疑われる場合は、医療機関に連絡のうえ、早めに受診しましょう。

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